美輪明宏さんの『乙女の教室』に救われる

皆さんは心が荒んだり腐りそうになった時、どのように対処されていますか?

何かと疲れる要素が満載の世の中で、弱った時に心に栄養を与えられる自分専用の処方箋のようなものがあると心強いですよね!

 

私自身、会社員をしていて度々心が荒みかけていたのですが、その頃本屋さんで藁にもすがる思いで手にしたのが美輪明宏さんの『乙女の教室』でした。美輪明宏さんといえば現在も大スターでいらっしゃるのは周知の事実ですが、当時は毎週レギュラー番組にも出演されていて、その発言があまりにも的を射ていて衝撃的だったので、そんな方のエッセイを読んでみたいというミーハー心丸出しのチョイスでした。

 

一言でいうなら若い女性に向けた躾本のような感じですが、老若男女に響くものがあると思います。美輪さんが常に大切にされている”品格をあげる”ための、“乙女の課題”が24個紹介されています。何気に定義するのが難しい、品格とか文化芸術、愛や色気といった、生きていく上で大切な様々な要素が、美輪さんの言葉にかかると鮮明に姿を現してくるような、ものすごいことがわかってしまったような…そんな感覚を味わうことができる一冊です。

 

心の栄養になる名言が多すぎて、なかなか選べないのですが、今回は私自身が腐りそうになったとき、健全な場所まで必ず引っ張り上げてくれる、“究極のナルシスト” について語られた部分をご紹介します。

 

クールな女は、ナルシストでもあります。

いえ、自分しか愛せない、いつも鏡をうっとりと見つめているような、自己チュー女のことではありません。ここで私が言うのは “究極のナルシスト”

鏡の中の自分だけを見て、自分以外のことは何もわからないナルシストと違い、究極のナルシストは一段高いところから世界を見渡し、さまざまな角度からものごとを検証します。世界を見渡す視線の高さ、視野の広さが、違うのです。 (中略)

究極のナルシストは、自分のことを裏も表も研究しているので、自分の中にも人の不幸を嗤ったり、人の幸せを妬んだりするネガティブな感情があることを自覚しています。その上で、そういう感情に支配されて人を傷つけたり、意地悪をしてしまうような、そんなみっともない恥ずかしい下品なことを、自分で自分に許さないのです。

ナルシストは、こう考えます。

この私が、そんなみっともないことをしてはいけない。

                                                                              出典:美輪明宏 乙女の教室