卒アルを撮り直したい

数年前、アメリカの心理学者が “卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学” という本を出版し、その内容を紹介していたテレビ番組を観て衝撃を受けた記憶があります。

確か大学の卒業アルバム写真を集めて、口角の上がり具合などから笑顔を点数化し、彼らのその後の人生を調査した結果、笑顔で写っていた人達の方が幸福度が高く、寿命まで長くなる傾向があった…みたいな内容だったと思います。

 

身分証の写真なんかも満面の笑みが主流のアメリカでの調査結果とはいえ、とても興味深かったというのもありますが、私の場合はまた別の意味で考えさせられるものがありました。

というのもまず大学の卒業アルバムを持っていない 笑。一応大学は卒業したのですが、以前にブログでも書いた通り、大学4年の後半は帯状疱疹との壮絶な闘いに明け暮れており、外見的にも体力的にも卒アルを撮りに行って笑っている場合じゃなかったので、写っておらず、購入すら叶いませんでした。

 

ならば高校や中学の卒アルまで遡ってみたらどうだろうか。と、この際アメリカの調査からは外れて広げて考えてみたところで、これまた確認するのが不可能なのでした。ちなみに中高時代のアルバムはちゃんと手元にありますよ。そしてしっかり写っています。

 

何だか謎解きみたいな言い回しになってしまいましたが、はぁ?何言ってんの?と思われた方はある意味幸せであり、そりゃそうだ!無理だわな!っと共感してくれた方は、私と同じ境遇かと思われます。笑

某テレビ番組ではありませんが、笑ってはいけなかったからです。

時は平成に入っていて軍国主義でもなかったはずですが、管理教育的な色がかなり強かったとも言われる当時の愛知県だからなのか、とにかく全員が真顔なのです。

自由な校風が売りの高校時代でさえその傾向で、口角をギリギリまであげた、真顔以上笑顔未満の人がかろうじているというレベルで、とにかく歯を見せたり満面の笑みが許されないという、よく考えると不思議な卒アルなのでした。

 

これら個人写真の他に、ユニフォームを着たり楽器を持ったりして撮る、部活ごとの集合写真も卒アルの定番ですよね。個人写真に比べると仲間と一緒だからか、少しだけ柔和な気がする写真が多い中、当時もし(チョコプラの)悪い顔選手権があれば、詐欺の実行犯集団としてエントリーできそうな、明らかにやばい部の写真が一枚載っています。

 

苦楽を共にした女子バレー部の撮影当日のことは今でも鮮明に覚えているのですが、久々の集結にメンバー全員が笑顔で、その直前まで談笑していました。そこにカメラマンがやってきていざ撮り始めようとした瞬間、

「笑顔で写真に写るとは何事だぁ~!!!!!!!!!!」

という、定年間近の副顧問だった女性教師の怒鳴り声が体育館に響き渡りました。その一言が、陽気に包まれていた空気はもちろん、微笑みから詐欺の実行犯の形相へと一変させたのは言うまでもありません。

 

自分で書きながらいったいいつの時代の話やねん!とつっこみたくもなりますが、髪をなびかせて、笑顔はじける野球を繰り広げてくれた今年の甲子園球児を見たりすると、日本も確実に変化してきているのを感じます。

 

とはいえ、免許証やパスポート写真を見せてもらうと、前科何犯ですか?と問いたくなる人が周囲に少なからずいる身としては、何とかならないものだろうか・・・と思ってしまうわけですが、これらの身分証写真も現在はかなり緩和されていて、微笑みレベルまでなら許されている都道府県も多いということを、最近になって知りました。

驚きと同時に、次回の免許証とパスポートとマイナンバーカードの写真は、最大限の微笑みで撮ってやる!などと卒アルのリベンジの如く、なぜか意気込み始めた私なのでした。