前世で何があったのか

“永遠のお別れ” 的なものに、小さい頃から異常なくらい執着している自分がいます。それこそ前世というものがあるとしたら、いったい何があって誰と別れたんだろう・・・なんて真面目に考えてしまうほど 笑

 

幼稚園の頃に読んでもらった「泣いた赤鬼」の結末に対する号泣レベルが、両親を心配させるほどだったり、好き同士なのにもう二度と会うことができないことを連想させる、映画「ローマの休日」的なエンディングも、なかなかこたえるものがありました。

 

なのでそこに死別的な要素まで含まれてくる、殺された男性が幽霊となって恋人を守る映画「ゴースト」や、幽霊を法廷に引っ張り出そうとする奮闘を描いた映画「ステキな金縛り」なんかは、ファンタジーやコメディであっても、自分でも怖いくらいに感情を揺さぶられ、涙腺が崩壊してしまうのでした。

 

思えば、失恋の意味さえわかっていなかった幼少期でも、西田敏行さんの「もしもピアノが弾けたなら」や、岡村孝子さんの「believe」を聴いてホロっとしたり、長渕剛さんの「交差点」、ボン・ジョヴィの「Always」なんかは、失恋前の思春期であっても情緒を崩壊させられたりしたわけで 笑・・・他にも魅力的な “お別れソング” がたくさん存在するのは、“別れ” というものに、多くの人が心を動かされるからなのかもしれません。

 

 

浅田次郎さんの著書「椿山課長の七日間」は、途中で以前に読んだことがあることを思い出したという、我ながらいただけないパターンだったにも関わらず、涙が止まらなくなって途中休憩をはさむという、近年では稀な経験をしました。身近な人との死別を経験する前と後では、こんなにも感度が変わるものなのかと、自分でも驚くほど、二度目の今回は強いインパクトが残った作品となりました。

 

映画やテレビドラマ、そして舞台でも上演されたようで、韓国でもテレビドラマ化されたことを考えると、超人気作というのがわかります。

 

現世と来世の中間にある中陰の世界で目が覚めた、過労死した百貨店勤務の椿山課長(46歳)が、どうしても自分の死が受け入れられず現世に戻ることを願い出て、許された初七日までの三日間を使って、美女の肉体を借りて遣り残した思いを遂げる・・・というザ・フィクションのハートフルコメディなのですが、書き手が凄いと、こうも死の世界がユーモラスかつ真剣に描かれ、それが生きていることをしっかり考えることに繋げられるものなのか…と唸らされます。

 

 

ちなみに余談ですが、実生活ではしょっちゅう涙を流している心優しい友人と、映画館で泣ける映画を観終わった直後に、

「テレビも映画もスクリーンが “枠(わく)” で囲まれているから、感情移入できないんだよね~!だからどれだけ悲しかったり感動的な内容でも全く泣けないんだよね~♪」

と爽やかな笑顔で言われたことがあります。

すすり泣きがそこら中で聞こえていた館内で放たれた衝撃の一言に、世の中には本当に色々な人がいて面白い!と実感した私なのでした。